兵庫県但馬地域を拠点に活動した人形作家・渡辺うめさんの作品展「渡辺うめ人形の世界~過ぎし日の但馬のくらし~」(神戸新聞社後援)が、同県豊岡市但東町の日本・モンゴル民族博物館で開かれている。農作業にいそしむ、昔ながらの日常を表現した人形や資料など約30点が並ぶ。7月5日まで。
渡辺さんは夫の故郷、八鹿町(現養父市)で長く過ごした。1970年代から制作を本格的に始め、107歳で亡くなる2014年まで、160点以上を手掛けた。
人形の表情は個々によって異なり、農作業の道具など細かい部分も全て手作り。「母と子どもたち」では洗濯中の母に甘える子の姿などが目を引く。男の子が風呂の水をくむ様子や、収穫した稲を担ぐ若者など農村の生活が浮かび上がる。
同館学芸員の伊崎文彦さん(45)は「渡辺さんが見聞きしたことが人形のモチーフになっていて、当時のリアルな情景を再現している」と強調した。